【体験記】60歳じいじ、本物の量子コンピュータで「量子のコイン」を投げてみた
公開日:2026年10月15日

分類:今日の量子コンピュータお勉強部屋
実行日・作成日:2026年10月14日
最終確認日:2026年10月16日
量子コンピュータの記事を書いてきましたが、今回は本物の装置へ計算を送り、結果を見てみました。使ったのはIBM Quantum Platformの無料プランです。
回路づくりや送信の画面操作は、AI(Claude)に手伝ってもらいました。コインの結果を予想したのは私です。この記事では、送る前の予想とIBMの結果画面に出た数字を並べて記録します。
試したこと:量子のコインを投げる

量子ビットを1つ使い、0と1が半分ずつの確率で出るはずの状態にしてから測ります。ここでは、これを「量子のコイン」と呼びます。本物の硬貨を投げたわけではありません。考え方の入口は「重ね合わせとは何?」で説明しています。
IBMのComposerという画面で、最初に0に準備される量子ビットに「H」という操作を置き、そのあとに「測定」を置きました。使った装置は、画面に「ibm_marrakesh」と表示された156量子ビットの装置です。装置全体の156量子ビットを使ったのではなく、今回の回路で使った量子ビットは1つです。
準備から測定までの1回を「1ショット」と数えます。まず100ショット、次に1,000ショット実行しました。Composerの回路編集画面に出るシミュレーションと、実機で実行した結果とは別です。この記事の数字は、実機のジョブの結果として記録されたものです。
送る前の予想と、本物の結果
100回の予想を先に書き、結果を見ました。そのあと、1,000回の予想を書いてから、次の計算を送りました。
| 回数 | 私の予想 | 実機の結果 |
|---|---|---|
| 100回 | 0が70回、1が30回 | 0が60回、1が40回 |
| 1,000回 | 0が550回、1が450回 | 0が510回、1が490回 |


私の感想は、「とにかく計算が早い、でも何が起こっているかがはっきり理解できない」です。
装置の使用時間は、それぞれ画面の表示では2秒でした。ただし、これは送信から結果表示までの時間と同じではありません。100回の実行は、記録上、完了まで9秒でした。待ち行列や処理の時間もあるので、いつでも2秒で結果が見られるという意味ではありません。
回数を増やすと、今回は半分に近づいた
100回では、0が出た割合は60%でした。半分の50%から10ポイントずれています。1,000回では51%で、50%からのずれは1ポイントでした。0の回数だけを見れば、半分からのずれは、どちらも10回です。分母が違うので、割合で比べます。
同じ確率で独立に繰り返せるなら、回数を増やすほど、割合のばらつきは小さくなる傾向があります。ただし、回数を増やすたびに必ず半分へ近づくわけではありません。今回は2回の結果の比較であり、装置の性能や、ずれの原因を決める実験ではありません。
何もしないで測ったら、必ず0?
もう1つ、Hなどの操作を置かずに測定する回路を、1,000回実行しました。最初に0に準備され、理想どおりに測れるなら、全部0になるはずです。この回の予想は記録していません。
| 結果 | 回数 |
|---|---|
| 0 | 994回 |
| 1 | 6回 |
| 合計 | 1,000回 |
1が出た割合は0.6%です。実際の装置には、状態の準備や読み取りなどの不完全さがあります。ただし、この6回がどの原因によるものかは、今回の結果だけでは分かりません。誤りへの対策は「量子エラー訂正を、数式なしで学んでみる」で説明しています。今回、エラー訂正を試したわけではありません。
この回は、装置の使用時間が2秒でも、完了までの記録は1分5秒でした。装置を使った時間と、結果を待った時間を区別する例です。
今回記録したこと
- 100回では0と1が60対40、1,000回では510対490でした。
- 今回は、回数を増やしたほうが割合は半分に近づきました。
- 操作を置かずに測った回でも、1が6回混じりました。原因は特定していません。
IBMの取り組み全体はIBMの記事にまとめています。今回は、その会社の将来計画とは分けて、自分の予想と実際の結果を記録しました。
実行の記録
- 実行日:2026年10月14日
- 装置:ibm_marrakesh(画面表示:156量子ビット、Heron r2)
- プラン:IBM Quantum Platform、Open Plan(open-instance)
- 回路と回数:H→測定を100回・1,000回、測定のみを1,000回
- 画面の「0000」「0001」は、今回測定したq[0](今回使った量子ビット)について右端の0・1を読みました。ほかの桁の0を、別の量子ビットも測定した証拠とはみなしません。
今回の用語集
- 量子ビット:量子コンピュータで情報を扱う単位です。
- H:0に準備した量子ビットから、測定で0と1が半分ずつ出る状態を作る操作です。
- ショット:準備から測定までの1回を数える単位です。
出典
- 筆者のIBM Quantum実行記録・結果画面(2026年10月14日)。この記事の実測値と予想の出典です。
- IBM Quantum Documentation, IBM Quantum Composer(2026年10月14日確認)。回路の編集、ショット、編集画面のシミュレーションと実機結果の違い。
- IBM Quantum Documentation, Plans overview(2026年10月14日確認)。Open Planの基本枠は、過去28日間の利用量で数える最大10分です。追加枠の案内もあるため、利用時は最新の公式条件を確認してください。
- IBM Quantum Learning, Quantum mechanics basics(2026年10月14日確認)。Hと測定の基礎。
更新履歴
- 2026年10月16日:じいじのやわらか解説を短縮して冒頭へ移し、用語と確率の補足の配置を見直しました。ショットの説明を統一しました。今回の確認範囲は、この変更と表示です。既存記事全体の事実を再調査したものではありません。
- 2026年10月16日:じいじのやわらか解説と「今回出た言葉」を追記。今回の確認範囲は追加した説明と配置です。既存記事の事実全体を再調査した日付ではありません。
- 2026年10月14日:IBM Quantumでのコインの実行結果と予想、測定だけを行った結果を記録しました。