超伝導・イオントラップ・光をざっくり学ぶ
銘柄情報
| 会社名 | ティッカー・市場 | 記事で見る技術・分野 |
|---|---|---|
| NTT | 9432・東証 | 光量子 |
| 富士通 | 6702・東証 | 量子・量子HPC |
| IonQ | IONQ・NYSE | イオントラップ |
| Rigetti Computing | RGTI・NASDAQ | 超伝導 |
| SEALSQ | LAES・NASDAQ | 量子安全・耐量子暗号 |
| D-Wave Quantum | QBTS・NASDAQ | 量子アニーリング・ゲート型 |
| Quantum Computing Inc.(QCi) | QUBT・NASDAQ | 光・フォトニクス・半導体 |
| IBM | IBM・NYSE | 超伝導・量子サービス |
- 分類:今日の量子コンピュータお勉強部屋
- 作成日:2026年9月16日
- 最終確認日:2026年9月20日
- 読了目安:8〜10分

今回の疑問
量子コンピュータを調べていると、超伝導、イオントラップ、光という言葉が次々に出てきます。同じ量子コンピュータなのに、会社ごとに作り方が違うのはなぜでしょうか。
最初の私は、方式の名前を見ただけで「どれが一番すごいのだろう」と思いました。しかし、量子ビットは小さくて繊細です。作る材料も、冷やし方も、操作の仕方も、外から結果を読み出す仕組みも、研究する人たちが選ぶ道によって変わります。
この記事では、三つの方式を順位づけしません。違いをざっくりつかみ、会社の発表やニュースを読むときに「何を確認すればよいか」を覚えることが目標です。
まず共通する仕事を三つに分ける
量子コンピュータの方式が違っても、量子ビットに必要な仕事には共通点があります。
- 量子ビットを用意する
- 外から操作する
- 最後に測定して結果を受け取る
この三つを安定して行うことが、どの方式にも必要です。量子の状態は周りの影響を受けやすいため、装置を大きくする話だけでなく、操作の誤差、測定の誤差、装置を保つ環境も一緒に見る必要があります。

「量子ビットの数」だけでは読み切れない
ニュースの見出しには量子ビット数が出やすいため、その数字が大きいほど良いように見えます。けれども、実際の装置では確認する点がほかにもあります。一つ一つの量子ビットを望んだ通りに動かせるか。二つを組み合わせた操作が安定しているか。測定結果を正しく読み取れるか。この三つも結果に関わります。
IBM Quantumの技術資料でも、量子ビットの性質、ゲートの誤差、読み出し誤差、校正(装置の測定値を基準に合わせる調整)の後に変化する装置の情報を分けて扱っています。つまり、方式を知る入口は量子ビット数でも、そこで結論にしない方がよさそうです。
私が記事を読むときは、数字を見つけたら「何の数字だろう」と一度ノートに書くことにしました。量子ビット数なのか、測定の誤差なのか、操作に要する時間なのかで、数字が表す意味は変わります。異なる会社の異なる発表を、数字だけで横に並べないことも大切です。
超伝導方式は「回路」を量子ビットとして使う
超伝導方式では、非常に低い温度で働く特殊な電気回路を量子ビットとして使います。見た目は私たちが想像する普通のパソコンとは違い、配線や冷却装置を含む大きな装置になります。
IBMは公開資料で、同社の量子処理装置(量子計算を実際に行う装置)に超伝導量子ビットを使うと説明しています。同じ資料には、量子ビットの状態、ゲートの誤差、読み出し誤差などの情報が示されています。ここで大事なのは、超伝導という言葉だけで装置の性能を決めないことです。同じ方式でも、世代、つなぎ方、校正、使う条件によって見方が変わります。
また、実際の計算は量子処理装置だけで終わるわけではありません。問題を装置向けの手順に直し、実行し、測定結果を受け取ってから読み解く流れがあります。記事で「量子コンピュータ」とだけ書かれていたら、私は装置そのものの話か、周辺を含む利用の話かも確かめるようにしています。
じいじの理解メモ
「超伝導」と聞くと、難しい材料の話に感じます。いまの私は、まず「極低温の回路を使って量子ビットを作る方式」と覚えています。細かい回路の仕組みは、後で一つずつ学べば十分です。

企業を知る入口:IBM
IBMは公式資料で、同社が展開する量子処理装置は超伝導量子ビット技術に基づくと説明しています。これは方式を知るための入口です。装置の条件や会社の事業を、一枚の図だけで判断しないようにします。

イオントラップ方式は「原子」を量子ビットとして使う
イオントラップ方式では、電気を帯びた原子、つまりイオンを閉じ込めて量子ビットとして扱います。IonQは、イッテルビウム原子から作ったイオンを使い、電磁力で閉じ込め、レーザーで操作すると説明しています。
原子を使うと聞くと、研究室の中だけの話のように思えます。しかし、会社の説明を読むときは、原子という言葉に驚くよりも、「どの原子を使うのか」「どう閉じ込めるのか」「どのように操作・測定するのか」を分けて読む方が、内容を追いやすくなります。
会社名と方式名を同じにしない
IonQを調べる入口としてイオントラップ方式を知るのは役立ちます。ただし、イオントラップ方式そのものと、一社の事業や将来性は同じ意味ではありません。技術方式の説明、会社が発表した実績、将来目標、株式に関する自分の考えは、別々の箱に入れておくことにします。
例えば、企業の記事に「新しい装置」「新しい契約」「将来の量子ビット数」が同時に出てくることがあります。それぞれは大事な情報でも、同じ種類の情報ではありません。装置の説明は技術の話、契約は事業の話、将来の数は目標の話です。見出しを急いで結論にせず、発表日と本文を確認する習慣をつけます。

企業を知る入口:IonQ
IonQは、イオントラップ方式を説明する企業の一例です。公式技術ページでは、イオン化したイッテルビウム原子を量子ビットに使い、電磁力とレーザーを用いる考え方を説明しています。会社名から方式を覚えるときも、事業や将来の評価とは別にしておきます。

光を使う方式は「光の性質」を利用する
光を使う量子コンピュータでは、光の性質を利用して情報を扱う考え方があります。光と一口に言っても、実際の装置や技術の組み合わせは一つではありません。そのため「光方式だから同じ会社」とまとめてしまうより、各社・各研究機関が何を量子ビットとして扱い、どんな装置を目指しているのかを資料で確認する必要があります。
NTTは2026年8月3日付の発表で、OptQCと光量子コンピュータの実用化に向けた資本業務提携(出資を伴う業務上の協力関係)を結んだと説明しています。同じ発表では、それまでの共同検討を基に共同研究を開始したとしています。これは会社自身の発表であり、実用化の完了や投資成果を示すものではありません。発表内容と、将来についての期待を混ぜないようにします。
ここでも、提携という言葉だけで成果を決めないようにします。誰と何のために協力するのか、すでに始まったことは何か、今後の研究・開発の目標は何かを、発表文の順番に読みます。分からない言葉が残っても、推測で埋めず「次に調べる言葉」として残す方が、この研究室には合っています。
じいじの理解メモ
私は「光量子」と聞くと、まず光を使う量子技術の大きな仲間だと理解しています。どんな部品を使うか、何が既に実証され、どこがこれからの目標なのかは、会社ごとの一次資料で確かめます。

企業を知る入口:NTT・OptQC
NTTとOptQCは、光量子コンピュータの実用化に向けた資本業務提携と、共同研究の開始を発表しています。ここで確認できるのは発表された取り組みです。研究の進み具合や将来の成果は、続く一次資料で別に確かめます。

三つを順位表にしない
方式ごとに、作りやすさ、装置を大きくする工夫、操作の精度、周りの装置とのつなぎ方など、見なければならない点が違います。さらに、会社の説明は自社方式の強みを中心に書かれます。だから私は「方式名だけで一番を決めない」ことを、この研究室の約束にします。
会社の記事やニュースを読むときは、次の四つを分けます。
- その会社・研究機関が使う方式は何か。
- いま確認できる装置・研究・契約の事実は何か。
- 将来の目標やロードマップは何か。
- まだ分からない条件や、第三者の確認が必要な点は何か。
この順番にすると、派手な見出しを見ても少し立ち止まれます。特に、研究の進み具合、会社の売上、株価の動きは、それぞれ別の情報です。一つのニュースから、ほかの二つまで決めつけないようにします。
方式を比較する記事では、同じ条件で測った数字かどうかも確認が必要です。違う装置、違う課題、違う測定条件で出た数値を、そのまま比べられない場合があります。難しい比較を無理に一行でまとめず、比較できることと、まだ比較できないことを分けて書きます。

今日覚えるのはこれだけ
量子コンピュータには複数の作り方があります。超伝導、イオントラップ、光という方式名は、会社や研究の説明を理解するための入口です。方式の名前だけで、技術の順位や投資の順位を決めるものではありません。
じいじ理解度:★★☆☆☆
三つの方式の名前と、量子ビットを作る材料・操作の方法が違うことまでは分かってきました。一方で、どの指標を見れば装置の進歩を比較できるのかは、まだ勉強中です。次は、会社ごとの発表を「確認できた事実」「会社の目標」「自分にはまだ分からないこと」に分けて読んでみます。
今回の用語集
- 超伝導方式:極低温で動かす量子ビットを使う方式です。
- イオントラップ方式:電気を帯びた原子を閉じ込めて量子ビットにする方式です。
- 光量子方式:光の粒を利用して情報を扱う方式です。
出典
- IBM Quantum Documentation, View backend details(超伝導量子ビット技術、量子ビット、ゲート、読み出し誤差、校正情報の説明)
- IonQ, Our Trapped Ion Technology(イッテルビウムイオン、電磁力、レーザーの説明)
- NTT, NTT and OptQC Sign New Capital and Business Alliance Agreement(資本業務提携と共同研究開始の発表)
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更新履歴
- 2026年10月18日:じいじのやわらか解説と今回出た言葉を追加し、関連する説明の近くに配置しました。今回の確認範囲は追加した説明と配置です。既存記事全体の事実を再調査したものではありません。