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なぜ日本とタイが量子技術で手を組むのか

題名『なぜ日本とタイは量子で手を組む?』と、考えるじいじ、研究の道具や量子の模型をつないだイラスト。実在の人物や建物ではありません。
AIで作成した概念図です

量子コンピュータのニュースでは、性能や量子ビットの数が注目されます。しかし、社会で役立てるには、使い道を考える人や、研究と企業をつなぐ協力体制も必要です。

産業技術総合研究所(産総研)とタイのチュラロンコン大学は、2026年7月24日、量子技術の社会実装に関する覚書を締結しました。社会実装とは、研究で生まれた技術を、実際の社会や仕事で使える形にすることです。

今回は、この連携を手がかりに、量子技術の実用化に向けた準備を見ていきます。

産総研とタイの大学は何に合意した?

研究と社会をつなぐための協力

産総研が7月27日に公表した内容によると、両者は量子技術の社会実装に向けた協力を強化します。

研究者の交流や、共通の関心分野における共同研究の検討に加え、ワークショップ(テーマを決めて話し合う集まり)やシンポジウム、ハッカソン(短い期間に集中して試作する催し)などの開催にも合意しています。

注目したいのは、協力の目的に「社会で使うこと」が含まれている点です。産総研は、日タイ両国で量子技術の社会実装を共同で進める可能性を話し合い、うまくいった取り組み(ベストプラクティス)を互いに共有して、両国がこの分野をリードすることを目指すと説明しています。

覚書の締結と実用化の達成は別

覚書は、関係者が合意した内容を記録する文書で、MOUとも呼ばれます。

今回の発表で確認できるのは、協力の目的や取り組む方向性です。量子コンピュータが完成した、企業で効果が実証された、という発表ではありません。

「これから進めること」と「すでに達成したこと」を分けて読むことが大切です。

量子技術の使い道を、研究者と企業が考える

企業も議論に参加している

光量子コンピュータを開発するOptQCは、覚書の締結を記念してチュラロンコン大学で開かれた討論会に、同社のCTO(技術の責任者)が登壇したと発表しています。

同社の報告では、両国の企業や大学の関係者と、タイの量子分野を育てることや使い道の開発、サプライチェーンづくりに向けた協力の可能性を話し合ったとされています。サプライチェーンとは、部品や材料などを供給する仕組みです。

この報告からは、研究者だけでなく企業も交えて、協力の可能性を話し合ったことが分かります。

研究の器具、本と学びの道具、量子チップの模型と無地画面のノートパソコンを、空の丸いテーブルの周りに配置し、光の線でつないだ概念図。研究機関・大学・企業が協力の可能性を話し合う段階を表し、契約成立や実用化の達成を示していません。
AIで作成した概念図です

「何に使うのか」が重要な問いになる

量子技術のニュースを読むときは、「性能がどれだけ上がったか」に加え、次の点にも目を向けてみましょう。

  • どんな仕事や研究の課題に使おうとしているのか
  • その課題を持つ企業や研究者が参加しているか
  • 実際に試した結果が公表されているか

協力する相手や取り組みの内容を見ると、実用化に向けて何を準備しているのかが理解しやすくなります。

今回の発表では、まだ分からないこと

完成時期や事業効果は断定できない

今回確認した資料だけでは、具体的な製品の完成時期や、企業の利益につながる時期までは判断できません。

また、連携の発表だけで「量子技術がすぐ普及する」「関連企業の業績が伸びる」と結論づけることもできません。

発表された事実と、今後への期待を分けて受け止めましょう。

次は具体的な活動と成果に注目する

今後のニュースでは、次のような進展が確認のポイントになります。

  • 共同研究のテーマや参加者が決まったか
  • 研究者の交流や共同の催しが実施されたか
  • 使い道を試す実験や、その結果が公表されたか

協力の合意が、どのような活動につながっていくのかを追うことで、量子技術の発展をより具体的に見られます。

まとめ

産総研とチュラロンコン大学の連携は、量子技術を社会で使うための協力を進める取り組みです。覚書の締結は確認できる一方、実用化の時期や事業効果まで確定したわけではありません。

量子ニュースでは、装置の性能に加えて「誰が、何に使うために動いているか」にも注目してみましょう。研究者や企業の連携を知ることは、量子技術が社会に近づく過程を理解する手がかりになります。

参考資料

  • 産業技術総合研究所「産総研とタイ チュラロンコン大学が、量子技術の社会実装に関する覚書を締結」

発表日:2026年7月27日

https://unit.aist.go.jp/g-quat/ja/results/announce/announce_20260727.html

  • OptQC「産総研G-QuATとチュラロンコン大学の覚書締結記念討論会への登壇報告」(英語。題名は当ブログで訳したもの)

発表日:2026年7月30日

https://www.optqc.com/en/news/news/mou-chulalongkorn

※上記2件の資料をもとに作成(2026年10月24日に内容を確認)。

公開日:2026年10月25日/最終確認日:2026年10月25日

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